
一部では有名なあの醤油手帳を
購入いたしましたので簡単レビューなど。
著者は杉村 啓さん。
同人やネットでは『むむ』名義でご活動されており、
飲食系同人の分野では著名な方だと思います。
私もこの醤油手帖は同人誌の
『醤油手帖 Vol.1〜たまごかけご飯専用醤油編〜』
で醤油手帖を初めて手にしました。
私はたまごかけご飯が大好きでして、
ある時期は月の3分の2はたまごかけご飯を食べておりました。
たまごかけご飯で生きていたと言っても過言ではない位で、
そこから数年の時間を経たのち、偶然ネットで醤油手帖の
情報を知り、イベントで購入したのが醤油手帖との出会いでした。
そしてその『醤油手帖』が同人誌ではない
一般の出版物として発行されると知り、予約購入しました。
Amazonで予約したんですが、ちょうど増税前の繁忙期に
巻き込まれたっぽくて入荷日(着店日)にも発送されず、
発売にも発送されず、発売の翌日位に出荷されると言う、
『ニアkonozama状態』に陥りましたが無事に手に入りました〜!
そんな訳で醤油手帖がもっと沢山の人に
知られるきっかけになれば良いなと思ったので
書評とまでは行きませんが簡単なレビューを書きます。
まず、装丁やデザインですがシックで洒落ております。
同人誌版も大変洒落たデザインですので、同人誌版を知っている
読者から見れば今までのデザインを踏襲したデザインだと
ひと目で判るので購入時もなんとなく安心感がありますw
日本人なら一度は使った事があるであろう「あの醤油注し」を
モチーフにしたデザインも醤油手帖の定番と言うか、
醤油手帖のアイコンになってきたような気もいたします。
逆に初めて目にする方にとっては表紙の情報量が少ないので
前もって本の内容を知らないと手に取りづらいかも知れませんが
帯に「おいしい醤油、教えます」と書かれてあるので
帯のアオリ文からどういう内容の本か想像ができるかと思います。
次に、本のサイズや重さですが、サイズはB6版より僅かに縦が長い
「B6変形版」と言えるサイズでA5程、漫画本・同人誌的なサイズでもなく、
文庫・新書サイズ程小さ過ぎずな、写真も文章も程よく見やすいサイズで
発行側のこだわりを感じます。本の重さも軽いのでカバンに入れて移動中に
読む場合もあまり邪魔にならないので良いと思います。
本文ですが意外にもカラーページが多く、本文の8割ほどが
カラーページで、主要な醤油の写真がカラーで掲載されています。
食べ物の写真がモノクロだと「赤みを帯びた醤油」と書かれていても、
「どんな赤なのか?」、「他と比べたらどれほど赤いのか?」が
判らないですからこれは大変ありがたい装丁だと思います。
やはり、食べ物・飲み物の本は本文のメインとなる対象である
食材や調味料などカラーで掲載して欲しいですね。
内容ですが、大手メーカーのポピュラーな醤油から
マイナーなご当地系の醤油まで日本全国の醤油49種が
とても丁寧に紹介されております。
本文のレイアウトが4段組になっているので
本のサイズが小さめでも情報量は盛り沢山で、
この本一冊読めば醤油に関する多くの知識を得られます。
実際に「ホワイトシチューの隠し味に醤油かあ!!」と
私にとっては目から鱗な情報がいくつも書かれていましたし、
小麦を使わないで醸造されたので小麦アレルギーの方でも
安心して使える醤油が存在する事もこの本で知りました。
「隠し味に醤油」は試してみたいです。
いい事知っちゃったよ!
他には神社に奉納する用途で生まれた醤油などが紹介されており、
実用情報から趣味的な情報までとカバーエリアは広いです。
そして本文の隅にも「はみだし豆知識」として
醤油に関するちょっとしたトリビアが書かれているので
読みながら「へぇぇ〜。なるほど〜」と唸る事うけあいで、
「醤油の紹介を読みながら醤油に関する知識も深めて
醤油という調味料と、それに連なる食文化も愉しもう」的な
発行意図を感じられて大変好感を持てます。
こういう所に善い意味で同人的な「醤油への愛情表現」
とも言えるスピリットを感じられて素敵だと思う。
是非この情熱と豊富な情報量を体感して欲しいと思います。
醤油手帖を購入して酒の席で醤油薀蓄を語るも良し、
自分の知らない醤油にチャレンジしてみるも善しです。
個人的に不思議に思った事がひとつ。
『魚醤』(ぎょしょう、うおひしお、とも読む。)の章で魚醤の漢字に
ルビが振られていなかったので醤油手帖的には『魚醤』と書いて
『ぎょしょう』と読ませたいのか『うおひしお』と読ませたいのかが
判らず不思議に思ったのですがこれは何か意図があっての事なのでしょうか…?
卵(玉子)かけご飯を『たまごかけご飯』と表記していた経緯には
触れられていたし、『醤』と書いて『ひしお』と読む事も解説されていたけど
何故か『魚醤』の読ませ方には特に言及が無かったと思います。
私は『魚醤』と書いて『ぎょしょう』と読んでいますが、
『魚醤』と書いて『うおひしお』と読む人も居られる筈だし、
そもそも『魚醤』を知らない人はどう読んだら良いのか
判らないと思うかも…。と思います。
東北地方で使われる『しょっつる』や『いしり』が
まさしく魚醤であるし、海外だと東南アジアの料理に使われる
『ニョクマム』や『ナンプラー』も同じく魚醤だけども、
それらが『魚醤』とカテゴライズされるものである事すら
知らない人だって居ても不自然ではないと思うので
何か意図があって『魚醤』にルビを振らなかったのかな?
と、思ったのでいつか機会があったら振れて欲しい話題です。
そんな感じで『醤油手帖』は、醤油に関する知識も得られる
だけではなく、知的好奇心も刺激してくれる良書だと思いますし、
手軽に読める専門書・入門書としては大変優れていると思います。
本文の書体の選び方にも独特な工夫が感じられ、まずメインとなる
センテンスには新聞で使われている書体に似た書体が使われているけど
違う部分はまた違う書体を使用している…など、書体の使い分けによって
文章量が多くても紙面がゴチャゴチャしないので普段本を読まれない方でも
気負うことなく読む事ができると思いますので是非ご一読下さい。
醤油手帖 杉村 啓
http://www.amazon.co.jp/dp/4309284264/ref=cm_sw_r_tw_dp_T7Lptb0PXCZJX